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『ファーレ立川』 4月30日

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近年駅前最開発が進み、大変貌を遂げた中央線立川駅周辺。
立川基地跡地の昭和記念公園に続くエリアにはオフィスビルや新しい百貨店が立ち並んですっかりお洒落な街になった。
多摩地域随一の都市として多くの消費者を呼び込んでいる。
中でもこの多摩都市モノレールが開通し多摩ニュータウン方面からも便利になったことで、人の流れが大きく変わった。モノレールの沿線には大学が多数立地しており若者が多い街としても脚光を浴びている。
モダンな街を歩いていると、突然巨大なオブジェにであう。
なんだ、これは?
近代的なビルの三階にも達しそうな大男のオブジェに思わずびっくりする。
それだけではない。
注意して見ると街のあちこちにさまざまなアート作品が置かれているのだ。
立川基地の跡地利用に合わせて再開発地域『ファーレ立川』をどう魅力的な街にするか、という議論がなされた時、現代アート作品を身近に味わえるような街が作れないかということになった。

1994年、東京芸術大学出身の北川フラムアートディレクターが設計し、街の中にアートを置くという趣旨に賛同してくれる世界中のアーティスト36か国、92人から作品を集めた。
「美術の妖精が棲む森」をコンセプトにオフィスやデパートなど11棟のビルの間に、換気塔、照明灯、車留めなど建築上のデッドスペースのもつ機能をアートに変えることを目的にした。
アート作品を美術館のガラスケースの中に閉じ込めるのではなく、子供たちが乗って遊んだり触ったり出来るようにしたのが大きな特長だ。
掃除や落書き消しといった管理は地元のボランティアの人達が引き受けてくれている。また事前に頼めば作品の案内解説もしてくれるという。自分たちの街は自分たちで大切にするべきという気持ちが活動を支えている。

通常なら『上り志向』が強いというのが消費者の感覚だが、中央線沿線の吉祥寺や三鷹などからも立川を訪れる人が増えているのはこの個性的な街づくりも一役買っていると考えられる。

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『関内陵苑』 4月29日

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横浜の中心関内駅から歩いて数分のところに工事現場がある。マンション?ではない。
実は鉄筋コンクリートの共同墓地のビルを建設しているのだ。
この墓地を売り出すのは「ニチリョク」だ。
「ニチリョク」はもともと墓石を霊園とセットで販売する企業である。
しかし都市部では霊園の用地確保は難しく、必然的に超郊外にならざるを得なかった。
『富士山の見える霊園と言えば聞こえはいいですが、墓参りが一日仕事になればどうしても頻繁にというわけにはいかないものです。自宅や職場近くにお墓があればお参りの回数も増え結果的にご先祖様にも喜んでいただけるのではないかと考えました』
寺村久義社長はこう話す。
寺村さんのアイデアは都心部にビルを建て、立体駐車場や自動倉庫の要領で上層に格納してあるお墓をお参りする時に呼び出してくるという新しい形式の『墓地』だった。
『これだと最小限度の土地を有効に活かせるから、一区画70万円という価格帯で大量に都心部にお墓を確保出来ます。また法事などに使う部屋も用意してありますが、親族が集まりやすいという点も特長です。だいたい生前はマンションなど空中で生活するのが当たり前になっていますから、亡くなった後は土の中でなければという考えかたも次第に変わりつつあるのではないかと考えました』
ニチリョクはすでに都内水道橋近くでこの立体墓地を販売し完売した実績があり、今回の横浜は都心部としては二番目の物件となる。
まだ建設中ながら現地説明所には次々に問い合わせがきており、寺村社長は反応にたしかな手応えを感じている。


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『地方の問題』 4月28日

今回の北海道旅行でも感じたことだが、地方小都市の駅前など中心商店街は完全に機能が停止している。
郊外型ショッピングセンターの影響も一部ではあるが、例えば今回旅した名寄や稚内にそんなショッピングセンターができたわけではない。人口減少と高齢化で人通りが減ったことのほうが直接的だろう。そしてどの町も消費者金融とパチンコの看板ばかりが目立つ。
ITなど大きく所得を伸ばす可能性のある新興産業は都会に集中し、後継者のいない一次産業は疲弊、公共事業中心の建設業は衰退、頼みのツナだった誘致工場も海外へと出て行く。
地方は土地と人件費が安いことが魅力のはずが、ボーダレス経済下ではいくらでも安い土地と労働力が海外にあり距離の遠さをITが埋める。
まったくの袋小路に入った虚無感、退廃感を感じる。
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この稚内市内を走る宗谷バスを見てほしい。
年配者ばかりだ。バスの乗客の中でもっとも若いのが私、生産年齢人口に入るのも運転手を除けば私一人だろう。
高齢社会ニッポンを先取りした地方の現実がある。

IT長者は東京に集中していることは事実であるが 本来は不便な地方だからこそ、そのハンディを乗り越えるためにITは活用されなければならないはずだ。
地方の産物をダイレクトに都会の消費者に売ったり、店が少なく選択肢が狭い購入を余儀なくされている地方の人でも多様な買い物が出来たり、情報をリアルタイムで入手可能にするメリットをまだまだ活かしきっていないと感じる。
ITを『理科』だけでなく『社会科』で捉らえる発想が求められる。

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『横浜そごう』 4月23日

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西武・そごうの『ミレニアムリテイリング』では各店毎に年二回、販売成績優秀社員を表彰する『スタークラブ認定式』を行っている。その「横浜そごう」で行われた表彰式で記念講演を行った。舞台に上がっている人たちはこの制度始まって以来六期連続優秀者に選ばれた人たちだ。
四年前、そごうが破綻した時、私は自ら志願して「横浜そごう」で従業員を集めて『くじけるな、頑張れ』という講演を行った。語る私も涙、聞く人たちもほとんど涙という忘れられない講演会だった。
今回の決算発表で和田繁明社長はフタ桁の増益を示し、『ミレニアムリテイリンググループは勝ち組になった』と宣言した。
久しぶりにみる「横浜そごう」の従業員たちは余裕の表情を取り戻し、笑顔に溢れていた。
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私はこの四年間の軌跡に触れた時、思わず感極まってしまった。
『いまの消費者はハレを求めて消費をするのに、本来もっともハレの舞台のはずの百貨店が自ら暗い話題をまいてしまったことが辛かった。だから、そごうが復活してくれたことがなにより嬉しかった』という私の一百貨店ファンとしての声に多くの人たちが一緒に涙を流していた。

優秀な販売員だけに、その後の懇親会でもいかに多くの上得意客をつかんでいるかという話が多く聞かれ、私も勉強になった。

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『野毛大道芸に見る「集客ソフト」』 4月23日

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4月の休日、うららかな春の陽気に誘われてどっと繰り出した人出。
しかし、ここは流行りのテーマパークやショッピングセンターではない。
横浜の野毛、伊勢佐木町という横浜の中でも近年は衰退が著しいと言われている商店街が人で埋まっているのだ。
今年で三十回目を迎えた「野毛大道芸」は最初は小さな商店街のイベントだったが年々集客力を増し、エリアも伊勢佐木町からみなとみらい地区までひろがり横浜を代表する一大イベントに成長した。
会場は歩行者天国になっている路上が中心。商店街の中におよそ100メートル間隔でアルファベットがふられ、そこを舞台に30分ごとに様々な芸が繰り広げられる。見物の人はプログラム片手にその会場をはしごして歩けば、飽きることなくさまざまなパフォーマンスを無料で楽しめる、というわけだ。
芸はパントマイムに曲芸などさまざま。「芸はお客が鍛える」というが全国から集まる芸人のレベルは年々高まっている。
客層は若いカップルから家族連れ、お年寄りと老若男女を問わず幅広い。
野毛や伊勢佐木町はひと昔まえに栄えた繁華街だから普段は年齢構成が高いのだが、大道芸の日ばかりはまったく客層に片寄りがない。

大道芸というあまりカネのかからない集客装置が地元にもたらす恩恵ははかりしれない。
飲食店やコンビニはどこも大行列、またあやかりでさまざまな商品を並べる屋台や露店がさらに賑わいを作る。何故か似顔絵や版画売りなど『芸術系』が多く集まっているのも特徴で冷やかし客で結構賑わっている。
そうした傾向を受けて『こどもお絵かきコンクール』なども路上で繰り広げられている。大道芸が楽しいのは言うまでもないが、なにも大道芸だけを楽しもうとして人は集まっているわけではない。
大道芸は『きっかけ・入口』でありみんな楽しさを求めているのだ。言い換えればなぜ旧来商店街に人が集まらなくなったかと言えば、それは楽しくないからにほかならない

ハードは立派であるにこしたことはない。
しかしいくらハードが立派でも楽しくなければ人は集まらない。
『集客ソフト』がいかに大切か、野毛大道芸はそれを教えてくれている。

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『ルネサンス アカデミー の新挑戦』

浜松市にある専門学校『ルネサンス アカデミー』はこれまでのデザイン関係の学部に加えて05年度より動物関係学部をスタートさせ、授業を開始した。動物関係学部は動物看護師科、ペット美容科、しつけインストラクター科からなる。
動物看護師科は動物病院などで獣医師のパートナーとなる動物看護師を養成する。
ペット美容師科は犬や猫の健康管理とおしゃれに関わるペットの美容師、トリマーやグルーマーを目指す人たちに犬な猫の生態的特徴に始まり、美容理論や、トリミング技術、しつけトレーニングや病気予防を含めた動物看護の基礎を習得させる。
さらにしつけインストラクター科は人と動物が快適に暮らすためのペットのしつけを総合的に学習することを目指している。
『ルネサンス アカデミー』の創設者中野哲男さんは、もともとこの地で自動車販売業を営んでいた。しかし将来性を考えて廃業し、まったく新しい教育分野の仕事をしようと思い立ち、10年前専門学校を設立した。
時あたかもバブル崩壊の時期、これからの日本に必要な人材を養成する学校事業こそ社会のニーズに合うと考えた。そして製造業集積の地浜松だからこそデザインというソフトの人材が求められていると判断し、デザイン学校を作ろうと思い立ったという。
中野さんの狙い通りデザイン学校は順調に伸びた。
そして今回思い付いたのが動物関係学部だった。
動物関係学部長の中野勘次郎さんは、『ペットケアの仕事は世界の中でも先進国と言われるG7の国くらいしか成り立たない。その中で日本はまだまだ最下位のレベルで、ペットに対する正しい考え方や正しい飼い方をもつ人は限られています。10年先にこの業界で世界に通用する人材を育成するのが目標です』と語る。
早速出来立ての校舎を案内してもらった。
動物病院で勤務出来るように学内には手術室も備えられている。獣医のサポートをする動物看護師は国家資格ではなく業界資格であるが、ルネサンスアカデミーのような文部科学省の認可を受けた専門学校は増えたとはいえ、まだ全国で30あまり。これまではフリースクールと呼ばれる言わば『私塾』に頼っていた。中野学部長は『これくらいの設備を備えた学校はまだまだ少ないはず』と言う。
動物関係学部の校舎は七階建て。総工費およそ3億5千万円が投じられた。建物そのものもさることながら、動物を扱うゆえの設備にも気をつかった、たとえば匂いを除去する換気扇やイオンを出す空気清浄器なども完備している。動物関係の専門学校などあまり例がないから学習環境の整備から近隣の理解を得るための配慮など、先輩の学校からのアドバイスはあったものの手探りでの工夫も多かったという。

初年度入学者は86人、全員が静岡県内からの応募だった。中野学部長は『県内には毎年400人くらいの卒業生の就職マーケットがあると見ており、さらに広がるはずです。就職実績が上がれば入学生も増えてゆくはずで、設備もそれに対応出来るようにしてあります』と自信を示す。

18歳人口は減るが、一方で就職できない若者は多い。
拡大するペットビジネスにやり甲斐を見いだす若者に技術を身につけてもらい社会に送り出せるならば社会的意義は大きいはずだ。
『再生』という意味を込めて名付けた『ルネサンスアカデミー』。
あらたな挑戦が始まった。

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『モス匠味十段バーガー』

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新橋の緑モス一号店の前にこんな貼紙を見つけた。1000円バーガー『匠味十段バーガー』は2時販売開始、1時半から行列レーンをつくるという。時計を見ると3時40分、ああダメかと思いお茶だけしようと中に入り『もちろん売切れだよね』とポスター指差すと『大丈夫』の返事、なぁんだと思ったがとりあえず注文、アイスティと合わせて1250円だ。
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待つことしばし、『お待たせしました』と木製トレイをたかだかと掲げるように『匠味十段バーガー』が運ばれて来た。ナイフとフォークも添えられている。なんで十段なのか説明がない。バーンズ、レタス、オニオン、目玉焼き、ベーコンにハンバーグ・・?あれ?これでは六段だ、まさか ケチャップやもう片方のバーンズまで数えるのかなあ。

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まあ味は悪くないがでもわざわざもう一度食べようというものではない。まさに『話のタネ』というスパイスがあって初めて食べるものだ。わざわざトレイに上質の紙を敷き、調理した人のネームカードまで添えるーこの『こだわり』がなにより企業イメージを向上させる。1000円のハンバーガーが何個売れるかなど直接経営に左右などしない。中途半端な価格ではなく1000円だからマスコミはこぞって取り上げる。そしてその段階でこの匠味バーガーの役割は八割方終わっている。モスバーガーはマクドナルドとは違うコンセプトの会社だと分かってもらえればいいのだ。
それこそ巧みな戦略ではないか。

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『桜新町とサザエさん』

私の生まれ故郷でもある世田谷の桜新町一帯を歩いてみた。渋谷から田園都市線で10数分。。050327_100819
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私が子供の頃はなかったこの地下鉄がすっかりこの町の雰囲気を変えたが、商店街の中には昔のままの店も僅かに残る。
いまこの町は『サザエさん』の町として知られる。
長谷川町子美術館に通じる道にはあちこちにこんな絵が描かれ、道行く人を楽しませる。ただしー。
もったいないと思うのは、実際にこの町でサザエさんにまつわる商品はほとんど売られていないことである。
それは必ずしも漫画のキャラクターを使うことだけではないはずだ。
なぜ料理店で『サザエの壷焼き』を名物としてプレゼンテーションしないのか、なぜ眼鏡店で『いささか先生眼鏡』を売らないのか、なぜ理髪店で『ワカメカット』を打ち出さないのか、売り上げ以上に町の楽しさを演出し、『商店街のテーマパーク化』が話題となるはずだ。

『あやかれ』
これがビジネス成功のキーワードである

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『名古屋三越ラシック』

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名古屋栄の三越百貨店に隣接して専門館『ラシック』が3月9日にオープンした。専門店170店のうちおよそ7割が名古屋初登場という物珍しさも手伝って初日10万人が入場するなど新名所になっている。
名古屋圏でも郊外型ショッピングセンターの開発が進みいかに都心部への集客をはかるかが大きな課題となっている。栄地区は三越や日本一の売り場面積を誇る松坂屋など百貨店を中心とした商業集積が核となってきたが、近年消費者の百貨店離れが進んでいるだけに三越の名前を極力つかわないよう徹底し、テナントの導入も百貨店とこれまで付き合ったことがない企業を積極的に誘致するなど『らしくない』店を目指したのが『ラシック』だ。

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大きな吹き抜け空間の一階にはクルマが展示され、ゆったりした雰囲気のもとに待ち合わせなどができる。百貨店で言えば一階はもっとも売場効率がよいとブランドブティックや化粧品のコーナーがひしめいているし、専門店ビルでも一等地は一番家賃が稼げるという発想になりがちだからクルマの展示とはなりにくい

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隣の三越は朝10時開店だがラシックは11時だ。開店と同時にバーゲンなど催事場が賑わうのは百貨店だが、ラシックはまず7階と8階のレストランフロアから行列ができる。この時間帯からレストランに行列を作れる人はサラリーマンやOLではない。また売場より先にレストランから行列という事実は『いまの消費者は実は買いたいモノなどない』というなによりの証拠ではないか。
だとすれば商業施設、中でもラシックのような都心方ショッピングセンターが提供しなければならないものは『ハレの場』と『こだわり感』だろう。『わざわざ栄まで行ってきた』という気持ちにどう応えるかということだ。

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その『こだわり』にもっとも明快に応えているのが地下食品売場だ。なにしろ隣の三越で肉、魚、野菜は売っている。だから徹底したグルメ惣菜とパティシエ競演の生菓子を集積した。ベビーバギーを押した若い主婦ではなく、団塊母娘のレジャーランドになっている。
もともとどうしても買いたいものがあって来た消費者ではない。事実館内を歩く人たちで購入した商品の大きな包みを持つ人はほとんど見掛けなかった。開業人気で『とりあえず見に来た人』でも昼ご飯は食べるから飲食テナントは好調だが、予想を上回る人が来たというほど物販テナントの成果は上がっていないのは丸ビルも六本木ヒルズも同じだ。いかに絶えず関心を持たせ続けられるかー。課題は二年目以降のソフト提案だ。

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京急沿線

京浜急行は品川から横浜を経て神奈川県の三浦半島の久里浜へと達する。首都圏を走る私鉄の中で小田急線や東急田園都市線などは沿線のイメージが良く人気も高いが、京浜急行のイメージはあまり良くないようだ。沿線の大田区や川崎市は工場が立ち並ぶ地域だし、競輪競艇競馬場なども多く『ギャンブル電車』の異名を持つ。
そんなイメージを一新しなければ市場縮小時代に住宅分譲もままならない、そこで京急が考え出したのが『脚本募集』という奇手だった。沿線を舞台にした脚本を書いてもらいコンテスト優秀者には賞金の他映画化を約束するという。 これまで鉄道会社は安全や乗客への迷惑を盾に一部を除いてテレビドラマや映画のロケに対する協力には冷たかった。それから考えるとこの京急の試みは画期的と言っていい。鉄道というハード産業がソフトにようやく目覚め始めたのだ。
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