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『内堀醸造』

061024_utibori南アルプスの麓にひろがる長野県飯島町。
ここに新しい工場ができた。
岐阜県八百津町に本社がある酢のメーカー、内堀醸造の最新鋭工場である。
敷地面積52000平方メートルに50億円を投じて建設した新工場は、これまでの本社工場の生産量の四倍の生産能力を持つ。
アルブスの麓の天然水の良さがこの地に工場を設立する決め手となった。巨大なタンクの中で酒造りから酢の醸造工程、検査まですべてコンピュータ管理で20人ほどのスタッフで運営することができる。操業130年という老舗会社は、経済低迷に加えて、少子化高齢化が顕著になるという特に食品メーカーにとっては逆風が吹く中にあって、この10年間で売上げを5倍近くに伸ばすという急成長を遂げている。
もともとこの会社は、マヨネーズなどの原料の酢を生産することを主たる業務としてきた。
それが10年ほど前から原料や製法にこだわった「美濃の特選酢シリーズ」などを百貨店や高級グルメスーパーなどから展開はじめ、量から質へと購買動機が変わりつつあった好感度消費者の心をとらえることに成功した。
また5年前からは百貨店の食品売場に「オークスハート」という直前消費者に販売する店を出店、これがあたりいまや全国11地区に出店エリアを拡大するに至っている。
さらに店頭でタキシード姿で銀のトレイを持ちカクテルグラスで新しい飲料としての酢を紹介する名付けて「酢ムリエ」が登場、いまやテレビや雑誌で全国に紹介されるまでになっている。

重要なことは、品質に努めてきたというこの会社の姿勢は売上が急伸したここ数年に始まったことではないということだ。
130年の老舗は品質、つまり理科はそれほど変わったわけではない、ではなぜ売り上げは五倍になったのか? 私は理科に社会科を加えたことに理由があると思う。
社会科とはなにか? それは顧客目線の提案をしたということだ。自ら店をもち、お客さんに誉められたり叱られたりすることからどうやって訴求すればお客さんが納得して買ってくれるのか肌で感じる会社になったことが急成長の根底にある。もし原料供給メーカーに留まっていたならば、お客さんとは食品メーカーのことであり最終消費者にオシャレに酢を売るという発想にはならなかったはずだ。
理科だけでうれないと歎かず社会科を磨くべきである。

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『アリオ亀有』

061020_kotikame葛飾区亀有といえば、ご存知「こち亀」。
このゲームがあるのが「アリオ亀有」。
06年JR亀有駅から徒歩5分、環状7号からもアクセスできる地にオープンしたショッピングセンターである。
各テナントはイトーヨーカ堂で、三井不動産がテナントリーシングに携わった。
驚くのは亀有の駅前にはまだ十分営業力のあるイトーヨーカ堂の店舗があったのに、わずか300メートルほどの至近距離に既存店を上回るショッピングセンターをイトーヨーカ堂自身がつくってしまったことだ。しかも二つの店舗を結ぶ一本道にはご丁寧にセブンイレブンまである。
この地域はイトーヨーカ堂発祥の地にも近く、もともとグループ店が多いから、アリオ亀有が集客力を発揮すればするほど自社競合は厳しくなるばかりだ。

こういう問題点はあるものの「アリオ亀有」自体はいろいろ工夫が凝らされている。
冒頭の「こち亀ゲームパーク」も子供向けゲームセンターだが、アカチャンホンポにスタジオアリスなど子供関連の大型テナントを多くいれており、実際ベビーカーでの入店がきわめて多い。葛飾区や江東区、墨田区など下町地区では近年新しいマンションが次々に建てられ若いファミリー層が増えており、そうしたニーズを反映した店舗だ。

ショッピングセンターの悩みはランチニーズには対応できてもなかなか夕飯を食べてもらえないことである。
アリオ亀有ではフードコートとは別にレストラン街を作ったがこれを敢えてモールの建物とは別に切り離し、ショッピングセンターに来た客以外の外部顧客をもとりこめる設計にしている。
しかしこれはまだまだ解決した課題とは言い難い印象を受けた。

他にこの「アリオ亀有」にはセブン銀行の有人カウンターが設けられているなど、まさにショッピングセンター自体がひとつの完結した街、ということを実感する。

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『ららぽーと豊洲』

061016_rarapoto先ほどまで海岸線の遊歩道を歩いていた人たちが立ち止まり、跳ね橋が上がると水上バスがその下を通って入港してくる。
芝生を跳ね回るこども、そしてイヌたち。水辺には近代的な高層マンションやオフィスビルが林立し、わずか地下鉄で銀座から10分とは思えない新鮮な風景に訪れた人たちは驚かされる。

ここは江東区豊洲。
かつて石川島播磨重工業の造船所があった土地が再開発され、高層マンションなどが立ち並び始めている。
そこに06年秋にオーブンしたのが「ららぽーと豊洲」である。

敷地面積6.7万平方メートル、店舗数183、駐車場2200台といったデータをまずみな注目するが、実は今日の消費者がショッピングセンターにもっとも求めているものは快適なすごしやすい環境であり、「楽しい時間」という名前の商品なのだ。
都心から地下鉄で直結というロケーションでありながら、海に芝生という空間、こどもに職業体験をさせるテーマパーク「キッザニア」に浮世絵美術館、あるいはドッグランやペットと食事ができるレストラン。さらにシネコン、フィットネスクラブまで。
ここはショッピングセンターとは言いながら時間消費のテーマパークであり、帰りについでにモノを買ってくれれば儲けものといったほうが実態に近い。
銀座からわずか10分のロケーションでブランド店を並べても意味がない。
銀座にはない魅力で勝負するというディベロッパーのメッセージが伝わってくる。

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『スターフライヤーが挑戦する顧客満足経営』

061010_starflyarスターフライヤーと言われても何の会社かピンとこない人も多いかも知れない。
今年春に開業した新北九州空港と羽田を一日12往復している航空会社だ。
一般に県複空港と言われる県内第二空港で成功している例はあまりない。
乗り継ぎのない単純往復路線が多いし、なにより後背人口が少ないから利用者も限られる。航空会社が複数乗り入れる第一空港を離発着する便なら競争が激しいから割引運賃の航空券も多く発売されるが、第二空港は一社一路線というケースがほとんどで競争がなく、結果として割高に感じる航空料金を強いられがちだ。
そうした不利な条件の中であえて福岡県第二空港である北九州空港と羽田を結ぶ路線に社運をかけて参入したスターフライヤーは、他社とは一味違うサービスを提供して生き残ろうと必死だ。
早朝から深夜という海上空港を生かしたダイヤを編成、出張者の利便を考え、福岡着の飛行機で北九州に戻るよりも利便性があることを訴えた。またエアバス300型機は座席数を減らした分ゆったりとした一人当たりの空間を確保、革張りシートに足乗せ台など快適な空の旅が出来るように配慮した。他社より上質のブランケットにシートテレビと、サービスを向上させたところにリピーター確保への意欲を感じる。
新北九州空港は自動車専用道路で都心部と直結。空港島への横断橋の利用料金は無料、駐車場利用料金も低く押さえるなどして利用率を高める工夫を懲らしている。今のところ空港利用率は60パーセント程度だが観光利用よりビジネス利用が多い空港だけに、スターフライヤーによる価格戦略も含めたサービスがどれだけ支持を集めるかに今後空港全体の浮沈がかかっている。

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『最高裁判所』

061010_saikousaibansyo小学生の息子と最高裁判所の見学に行ってきた。
だれでも電話一本の申し込みで気軽に裁判所の見学や実際の裁判の傍聴ができることは意外に知られていない。
とくにまもなく始まる裁判員制度を広く啓蒙したい司法当局はピーアールに必死で、積極的に見学などを通じて裁判所を身近に感じて欲しいとしている。
見学では先ずビデオで裁判の仕組みについて説明がある。これは小学生でも十分に理解出来る内容だ。
続いて大法定に案内され、傍聴席に座ってこの部屋の説明を受ける。
15人の裁判官が座る席を前にすると、テレビで見るのとはまた一味違う臨場感に大人も興奮する。
すぐ近くの国会議事堂や憲政記念館、あるいは皇居など東京ならではの見学スポットなのだが、都民でも行ったことがないという人は多い。
これから紅葉も美しい穴場に是非お出かけになってはいかがだろうか。

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『ラゾーナ川崎』

061004_kawasakiJR川崎駅の表と裏口がひっくり返るかもしれない。
以前はすぐ駅前から東芝の工場が拡がっていた西口。その工場がなくなりマンション群にオフィスビル、ミューザ川崎シンフォニィーホールなど近代的な建築が並び始めた。
そして駅と直結する正面に06年秋登場したのが「ラゾーナ川崎プラザ」である。
商業施設の敷地面積7万2千平方米、地上6階、地下1階建て、テナント数287店。ビッグカメラにシネコンの109シネマズ、大型書店の丸善にホームセンター、食品スーパーも入居などとショッピングセンターを数字的に説明すると何となくわかった気がするものだ。
しかし一年もたてばあの開業人気が信じられないほど閑散として、テナントも串抜け状態になっているショッピングセンターも実際には多いものだ。
数字は顧客心理まで表現できない。

そうした中にあって、この「ラゾーナ川崎プラザ」はまちがいなく末永く消費者から支持されると私は高い評価を与えている。
まずディベロッパーの三井不動産はこのエリアに高層マンション群を建設しており、確実に足元商圏がある。
川崎駅からショッピングセンターと直結、ここを抜けてマンション住人は自宅に帰る。開業人気でいくら遠くから何十万人がやってきても、一度かぎり見物に来たという人ばかりでは意味がない。
生活人口の多さこそ財産なのだ。

そしてなによりショッピングセンター自体が「気持ちのよい空間」であることが大切だ。こんにちの消費者は実は差し当たってほしいものなどないものだ。
敢えて言えば「楽しい時間という商品」がもっとも欲しいものである。
これが売り手との最大のギャップだ。
ディベロッパーはいかに巨大な器にいかに有名店を並べたかを自慢する。
しかし「買いたいものがない消費者」にとって実はそんなことはどうでもよいことなのだ。
それよりもいかにゆったりとくつろげ、また楽しい時間をすごせる場所かが、また来たいと思うポイントなのだ。

その点「ラゾーナ川崎」は、中央広場を広々ととり、シネコンにゲームセンターにフィットネスなど買い物以外に使い勝手がよく、隣接地にミューザ川崎シンフォニィホールまであるという幸運にも恵まれている。そして少しハレの気分で食べに行かれるレストランが多いのも魅力となるはずだ。
モールには陽光が差し込み植栽も豊か。ベンチも多く快適な「時間消費の場」となるだろう。
工業都市として知られて来た川崎のイメージを一新する施設になるはずだ。

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『顧客満足NO.1、新生銀行』

Dvc061002_sinseiginko旧長銀から出発した新生銀行が経済雑誌などが行う顧客満足度調査で軒並みベストテン入りしている。
なぜだろう?
だいたい金融機関のように横並び意識が強い業界で、サービスで抜きん出るとはどういうことかを検証してみたいと考えた。
まずネットを開く。
表参道ヒルズなど人の集まりそうなところに支店がある。
また土曜日にも営業して資産運用相談にも応じていることなどを知る。
さらにATMの利用は24時間365日手数料無料とある。またセブンイレブンの店舗や郵便局のATMから預金を引き下ろしても手数料無料だから、新生銀行自体の店舗数は少なくても、私のように全国を走り回る人間には便利であることがわかった。

わが家からもっとも便利そうな横浜支店に出掛けた。
駅近くのこの店舗はなんとスターバックスの店が一階に入り、銀行の窓口とコーヒー店が中で繋がっている。
受付の私服の女性に、口座をつくってみたいけれど印鑑を持ってきていないと言うと「免許証などがあればサインだけでいい」と言われた。
そこからが早い。
「しばらくお待ちください」と言われたのに、しばらくどころか10秒もしないうちに別の女性に「それではこちらへどうぞ」とパソコンの前に誘われた。
自分の名前や住所など基本情報を自ら入力するのだが、もし操作ができなければ付き添う彼女がたすけてくれる。入力の際、発行するカードを20種類以上の色から選べるのも面白い。

入力が終わり、待つこと5分あまり。
「お待たせしました」と彼女が、私が指定した色のカードに私の名前を入れたものを持ってきた。
もう一度今度は暗証番号をパソコンに入力して全ての手続きは終わった。
「通帳はありません。取引情報を郵送しますので綴じてください」と、カードとともにフラットファイルが渡された。
この間入店から退店まで10分。
スターバックスで一休みし帰路セブンイレブンで早速入金をテストした。
まだ口座をつくったばかりだからサービスの本質について語るのはもう少し先にしたいが、これまでどの銀行でも体験したことのないスピーディーな「取引開始」であった。

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