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『映画「シッコ」が突きつける医療の矛盾』

同時多発テロからイラク戦争に至るブッシュ政権の対応を痛烈に皮肉った映画「華氏911」で話題になったマイケル・ムーア監督がまた新たなジャンルに立ち向かった。
新作「シッコ」はアメリカの医療制度を痛烈に批判する。
社会保険や医療を民間に委ねた結果、アメリカ国民は高額の医療費に苦しんでいる。
せっかく保険に加入していても、そのカバーされる範囲が保険会社の恣意により極端に狭められている。はては医療費の払えない入院患者には路上に捨てられる運命が待ち受けているというのだ。
カナダやフランス、そして独裁者の専制政治がまかり通っているとアメリカ人が教えられてきたキューバにおいてさえ手厚い医療制度があることをマイケル・ムーア監督一流の突撃取材と風刺の効いたコメントで浮き彫りにしていく。
とかくコンピュータグラフィックスなどを駆使した映像技術に頼る映画が多い中にあって、ストレートに社会の矛盾に立ち向かうジャーナリスティックな可能性がまだまだ映画というメディアにはあるんだ、と教えてくれるすばらしい作品だ。

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