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『ご存知ですか?鈴木安蔵』

鈴木安蔵は自由民権憲法案に精通していた憲法学者で、戦後日本国憲法の案をつくるための民間の有志による「憲法研究会」で中心的役割を果たした。
彼がまとめた憲法案がGHQの案に大きな影響を与え、今日の憲法の礎を築いたとされている。

衆議院で憲法改正発議に必要な三分の二以上の議席をもった与党は、安部内閣で国民投票法を成立させ、憲法改正に向かって舵を切った。
今年夏の参議院選挙で逆に野党が過半数をとったことでその夢は潰えたと思いきや、福田、小沢会談で大連立を画策していたことが明らかになった。もしこの構想が実現していれば憲法改正はまさに現実の日程に組み込まれていたはずだ。

自民党はもともと改憲を目指している。その最大の論拠は、今日の日本国憲法はアメリカから押し付けられたものであり、日本人が自らの手によって憲法をつくるべきだというところにある。

しかし、実はそのGHQ案のたたき台に日本人である鈴木安蔵の案があったことを世に知らしめれば、自民党など改憲勢力の論拠は崩れると考えた労働組合や護憲政党支持者たちが、鈴木安蔵を紹介した映画「日本の青空」を製作、各地で自主上映会を開いている。

私もこの映画をみるまで鈴木の存在は知らなかった。天皇の扱いや男女平等、そして戦争放棄をどうするか、あるいはまた主権天皇に固執する日本政府と天皇処刑に傾く連合国側との間にたちGHQは難しい立場であった。
その時、鈴木の案は内閣のコントロールのもと象徴天皇という落ち着きやすいものであった。
また女性に参政権を与え、基本的人権を尊重する考え方も鈴木案に沿っていた。
ただ一点、軍隊をどうするかという点は、厭戦意識が強かった当時の国民感情の中で、あえて鈴木案では空白となっていたが、GHQ側が戦争放棄と軍備不保持を書き加えた。
これは鈴木にとってももちろん大賛成であったようだ。

憲法制定から60年。
意外にも知られていない裏面に踏み込んだこの映画は、改憲の論議とは別にたいへん意義深いものであると思う。

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