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『社会人のための歌舞伎教室』

文楽に引き続き今度は歌舞伎教室に行ってきた。
講談師宝井琴調が本日の演目、忠臣蔵の「松浦の太鼓」について講談を交えながら解りやすく説明した後、いよいよ開演である。

主人公大高源吾が市川染五郎、宝井其角に中村歌六、殿様松浦鎮信に中村吉右衛門というなかなか豪華な顔ぶれだ。観客にはテキストが配られ、脚本に目を通しながら舞台は進行する。さらに必要ならば日本語、英語の音声ガイドの貸し出しを受けることもできる。
まさに至れり尽くせりで初めての外国人でもこれならきっと満足するだろう。

今回は社会人のための歌舞伎教室だが、海外から日本を訪れる人達に日本文化を味わってもらうという意味でもこの教室をもっとピーアールしていいと思う。

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『満員大盛況の歴史講座』

071221_144531驚いた。師走も押し詰まった22日という週末の金曜日の午後、3時間という長い講演会に人人人、有楽町よみうりホールが満席になった。

「講座、歴史の歩き方~仏となった神ー神仏習合と日本人の信仰」、という講演会だ。

正直言ってこんな地味な講演会が満席とは思っても見なかっただけに一時間前に会場、あっという間に一階席が埋まってしまったのには目を見張った。

「神神習合と神仏習合と日本的霊性」と題した京都造形芸術大学の鎌田東二教授の講演と、「日本人の神と仏」と題した菅原信海早稲田大学名誉教授による講演だった。

お二人とも日本人が神道と仏教をどう併せて信仰してきたかという多様性を論じた。

私は二人の話の内容よりも、こうしたテーマの講演会に立見がでるほど人が集まるという事実そのものが興味深かった。

集まった人は忙しい平日の午後だから年配者がほとんどというのは予想どおり。
トシをとれば仏や神様に関心をもつものだ、と言ってしまえばそれまでだが、さらにスピリチュアルブームの影響も多少あるかもしれないと感じた。

話は面白かった。
日本古来の神様信仰があまり抵抗なく外来仏教を受け入れてきた事情は、他の宗教に対して寛容でない国々からすれば信じられないことかもしれない。
しかし、日本を見習えば、宗教による戦争やテロという今なお世界を悩ませている問題は解決できるという菅原先生の話には大いに納得した。

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『葛飾北斎が世界に発信する』

2011年、東京墨田区に世界一高いタワーが出現、隅田川を渡れば浅草という立地を考えると、ここが外国人観光客のメッカになるはずだ。

この隅田区に生まれた世界的な絵師が葛飾北斎である。

いま江戸東京博物館で開かれている「北斎展」は、オランダやフランスに多数所蔵されている北斎の作品が里がえりして開かれたもので、北斎がいかにヨーロッパ画壇に影響を与えたかを教えてくれている。
文成年間、長崎のオランダ商館長は4年ごとの江戸参府のたびに北斎のもとを訪れ、人々のくらしぶりを描いた作品を依頼していた。
医官シーボルトは北斎の膨大なコレクションを持ち帰っている。
私たちが認識している以上にヨーロッパやアメリカで北斎の評価は高い。
新タワーが完成し外国人がこの地を訪れた時、葛飾北斎は大きな魅力ある観光ソフトになるはずだ。

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『魅力ある施設にしませんか?』

071218_kousyuudennwaみなさん、ピンク電話ですよ。懐かしいですね。
これ博物館の展示品ではないんです。実際に使われています。
どこにある?ですって。
新タワーができるお膝元、東武鉄道の博物館の玄関です。

もうこのピンク電話が全てを物語っていますね。
古臭くて、見せる工夫もなく、近所のこどもでもよほど幼児でなければ一回見れば飽きますよ。
また2階には向島界隈で活躍した文化人の紹介ビデオが誰も見ていない部屋で回っていましたが、おそらく20年くらいリニューアルしてないものです。

まもなく新タワーが東武の敷地にできるという絶好のチャンスなのになんとかしなきゃ、と他人事ながら心配します。

眠れる獅子東武、そろそろ起きませんか?

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『文楽初めて見ました』

恥ずかしながらこの歳になるまで文楽とは何か知らなかったし、もちろん見たこともなかった。
日本人として恥ずかしいことだ、と思っていたので国立劇場が文楽鑑賞教室を行っていると知ってすぐに参加してみようということになった。

文楽とは近世上方生まれの大衆芸能で、かつては人形浄瑠璃と呼ばれていた。
ひとつのまとまった物語を表現してゆく語り物音楽の浄瑠璃に合わせて、人形を操る人形遣いによって作品に登場する役柄が演じられる芸能だ。

物語の根幹をなす浄瑠璃を語る大夫、三味線弾き、そして一つの人形を三人の分担で操る人形遣いが一体となって文楽は成り立っている。

国立劇場の鑑賞教室では、まず三河漫才に題材をとった「寿柱立万歳」が演じられた後、大夫と三味線弾き、それに人形遣いが登場してしくみをわかりやすく解説してくれた。
そのあと音声ガイドの解説を聴きながら「伊賀越道中双六、沼津の段」を鑑賞した。

いきなりなんの説明もなく文楽を見に行くことはまず考えられない。
こうした顧客拡大の機会はたいへんよいことだと思う。

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『瞬間芸は演芸ではない』

横浜桜木町にあるにぎわい座に行ってきた。
古典落語の会という地味なテーマだが、土曜日の夜ほぼ満席だった。
進行役は館長の玉置 宏氏。
「お笑いブームとは言うが、正月の寄席中継はNHKだけになってしまった。お笑いタレントによるバラエティー番組のブームであってもけっして演芸ブームではない。お笑いタレントは瞬間芸はできてもにぎわい座に来れば5分とお客さんをもたせられない。優れた噺家はお客さんが育ててくださるものです」と話した。
まったく同感で、底の浅い瞬間芸しかできないお笑いタレントをテレビ局が消耗品のように使い回すから、賞味期限は極めて短い。
経済の活力を失った日本は、文化の面でも新しい芽を育てることをしていないと感じる。

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『「鳥獣戯画がやってきた」に行ってきた』

「ここが最後尾です」というプラカードまで出る、まるでドーナツ屋のような列に並んだ。
開催期限が迫った東京ミッドタウンのサントリー美術館の「鳥獣戯画がやってきた」だ。
鳥獣戯画は動物を擬人化したユーモラスな絵巻物で大きく分けて四種類あるそうだ。
絵巻物に沿って長い行列をつくって見入っている私たちのほうが、よほど鳥獣戯画っぽいなあと気がついた。

それにしても大入り盛況だ。
六本木に出現した国立新美術館、森美術館とこのサントリー美術館は、相乗効果によってこれまで六本木に全く来なかった客層開拓に成功している。
もっとも現代的なモダン美術館で鎌倉、室町以来の日本文化に触れるというのもなかなか味なものである。

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『借り物ではない(!?) 自分で作ったリースです』

071213_xmasrisu071213_xmasモミやヒバの香りを味わいながら土台を作り、そこに好みの飾りを施してゆく。
生のリースを自分で作りました。
製作時間一時間半くらい。
先生の指導よろしくとりあえず形になった喜びは、お店で買ったものとは一味ちがいます。
まるで我が子を可愛がるように今晩からクリスマスまで霧吹きで水やりしなくちゃ。

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『日本の現代の記録』

東京都写真美術館に行ってきた。
戦後を写真でたどる収蔵展と、やはり戦後をテーマにした写真をとり続けている東松照明氏の写真展を見た。

戦後の焼け野原で途方にくれる人たちから始まり、炭鉱や鉄鋼、造船など日本復興の最前線で汗まみれで働く人々の息遣い、そしてバブルに踊る爛熟経済下の人々。
なにげない日常の風景を切り取り残していくことは簡単な様で難しい。
写真は誰でも撮ることができる。とくにケータイでも撮影可能になり、パソコンで加工までできる時代だ。
写真に芸術性を求めるか、ドキュメント性を見出だすか。
写真が本格的に芸術部門に登場するようになったのは第二次大戦後だけに、まだまだ歴史の評価を完全には受けていないと思う。
数百年後、写真芸術を後世の人はどう評価するのか興味深い。

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『恵比寿ガーデンプレイス』

久しぶりに恵比寿ガーデンプレイスに行ってきた。
オープンして10年以上たつ。
近くの六本木をはじめ都内各地に次々と大型商業施設ができているから、集客競争は熾烈ではあるが、ここは落ち着いた大人の街として成熟し年輪を重ねていると私は感じている。

私は東京の都市再開発でもっとも成功したのは恵比寿ガーデンプレイスではないかと思っている。
ここにはウェスティンホテルや、各種レストラン、美術館、映画館など都市の基本機能が完備されている。そうした施設を利用する来街者も多いが、オフィスタワーに働く人や高層マンションで暮らす人も多い。
百貨店三越の、特に食料品売り場はそうした生活者、しかもかなり高額所得者や資産家が多い土地柄にも対応する品揃えをしている。

新しい商業施設ができるとマスコミは初日の入場者の多さを取り上げるが、物珍しさでやってきた人はリピーターにはならず一年もたてば閑古鳥、というところも多い。

来街者だけでなく、そこに生活する人の視点が街づくりには欠かせない。

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『唐招提寺』

071202_tousyoudaiji2071202_tousyoudaiji1左の写真をみると工場のように見えるかも知れないが、実はこの囲いの中で唐招提寺の金堂の大修復作業が行われている。
来年六月までの予定でシンボルともいえる大屋根もふきなおす。
天平の甍として知られる鴟尾はいま屋根から降ろされ展示されている。
修復後は新しい鴟尾に置き換えられるそうだ。

日本に苦難を乗り越えて仏教普及にやってきた鑑真の墓に参った。(写真右)
静かなたたずまい、しばし俗世間を忘れ、いにしえの歴史の世界にタイムスリップしたような気分だった。

以前、北京大学の学生にしたアンケート調査というのを雑誌で読んだことがある。
それによると一番行きたい国は日本、一番行きたい場所は唐招提寺だった。
なるほどとおもったが、恥ずかしながら私はいままで行ったことがなかった。

来年、金堂修復がおわるとブームになる予感がする。

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『九転十起の男』

071202_asano「京浜臨海工業地帯の父」と呼ばれる浅野総一郎の生涯を描く映画、「九転十起の男、グッドバイ」を観た。

映画に先立ち市川徹監督と、映画にも知事役で出演している松沢成文神奈川県知事のトークショーがあった。
二人は日本の歴史教育の中で、近現代史をほとんど教えないことは問題であると強調した。
私も豊田佐吉や松下幸之助、本田宗一郎などが全く取り上げられない日本の教育はおかしいと思っていた。
松沢知事は自分も、京浜工業地帯の父、浅野総一郎についてこの映画ができるまでほとんど知らなかったと語った。

浅野総一郎は人生の後半にエネルギッシュな経済活動をした。
セメント、石炭、造船にダム、鉄鋼から港湾にいたるまで日本の近代産業の礎を築いた人である。
東京と横浜の間に、埋め立てにより広大な土地を創りだし、日本最大の工業基地をつくりあげた。
そして産業界に人材を送りだすため浅野中学を創設するなど、活動範囲は限りがなかった。

いまの日本はまさにこうした日本の発展に尽くしてきた先達を学び、そこからあらたな歩むべき道を考える時だと思う。
自分の国の礎を築いた人々を理解することこそ、国家の品格であると思う。

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