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『拝啓 吉永小百合様』

「母べえ」で泣きました。映画館の観客の多くが泣いていました。
今様の音楽会社とタイアップした挿入歌や効果音などに頼らず、落ち着いて俳優の役柄で勝負する山田洋次監督の期待に見事に応えたあなたの演技と存在感はすばらしい。
たくさんの賞が待っているはずです。

思えば私の人生はあなた抜きでは語ることができません。
あなたの影を追い、同じ高校、予備校、大学と歩み、日本生命の保険にも加入し、「毎日骨太」や「ラブレ」を飲み、「大人の休日倶楽部」にまで入ろうといま考え中です。

あなたは団塊の世代の憧れです。
年齢は62歳ですから、正確には団塊の世代よりややお姉さんですし、子供の頃から活躍しているあなたを団塊の世代の男性は憧れの目をもって眺めながら青春時代を過ごしてきたはずです。
いま「サユリスト」という言葉が、ますます映画館で話題になる時期を迎えたのです。
時間とそこそこの小遣いを持ち、夫婦割引、シルバー割引という映画館の集客マーケティング政策の中、あなたはこれからもっとも忙しくなる女優さんです。
今まで以上に過密スケジュールの中で、健康を保ち美貌を保つご努力はいかほどか、とご推察致します。

中高年マーケティングを研究するものとして、あなたの作品あるいはコマーシャルをウォッチするかたわら、できれば「大人の休日倶楽部」で一緒に旅行している同伴の方は登場しないままでいて欲しいと微かな願いをもっております。
あるいは俳優二代目(?)西村晃との共演の依頼を頂ければ、わたくし、身命を賭けてとり組まさせていただきます。
寒さ厳しきおり、お風邪など召されませぬように。


                           永遠のサユリスト  西村 晃

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『セントレアその後』

080127_senntorea32005年の愛知万博に間に合わせて開業したセントレア、中部国際空港は早くも開業から3年になる。
当時は飛行機に乗る必要のない見学や買い物客で大変な集客スポットとなった。
しかしさすがに3年もたてば、「バブル景気」が続くとも思えない。

その後とくに商業施設がどうなったか気になっていたが、なかなかチャンスがなく今回ようやく訪問が実現した。
チャンスがなく、というのも東京と中部、あるいは大阪と中部を結ぶ便がないから、私のように関東圏に住むものがこの空港を利用しようと思えば、福岡や札幌から続いて名古屋地区に用事がある場合に限られるからだ。

080127_senntorea1まずオープン当時話題を集め、一時間待ちなどざらだった銭湯は改装中だった。
飛行機を見ながら入浴も二度三度行きたいかとなれば別問題。
どう建て直すのか、注目したい。
たまたま日曜日の昼時に行ったので飲食店はどこもそこそこ入っていたが、平日の夕食時間帯が苦しい。わざわざ食べに行くという場所ではないからだ。

実はセントレア開港前、中部国際空港株式会社の商業施設スタッフを集めて研修をしたことがある。
「日本の消費者はモノを買うとき上りに向かう『上り志向』というものがある。北海道は札幌へ、東北なら仙台、九州なら博多へという具合だ。東海地方なら名古屋に向かう。その点セントレアは名古屋から下る位置にある。飛行機に乗る人は下る必然性があるが、それ以外の人たちを下らせるにはよほどの『集客ソフト』を考えなければだめだ」
私はこう訴えた。

最初の一年はセントレアに行く、行ってみたいという心理が人々にとってこの地を意識の上で「上り」にした。
しかし目的がなくなれば下りの地に人を集め続けることは難しくなる。
セントレアはそのことを承知していたから、開港から半年あまりが過ぎ、万博が終わった2005年秋からクリスマス、年末年始、バレンタインなどの季節イベントをうち、名古屋方面から「わざわざ下ってくれる」お客づくりに奔走した。
空港ウェディングにF1にドラゴンズとさまざまな人集めのソフト開発に腐心する空港会社は日本では珍しい。

080127_senntorea2私が行ったこの日は、岐阜の飛騨地方の観光物産展を行っていた。
中央ステージでは郷土芸能が演じられ、周囲では観光案内や物産品即売が行われ人を集めていた。

『集客ソフト』を考える取り組みはこの空港がある限り永遠の課題だ。
私も知恵を貸すお手伝いを続けたい。

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『おいちゃんそしてさくら、柴又は新タワー完成後おおばけするぜぃ』

080117_shibamata3080117_shbamata1080117_shibamata2柴又帝釈天に行った。20年ぶりくらいだ。
この門前町商店街は、けっして昔ながらではなく明らかに寅さんを「集客ソフト」に、中高年をターゲットにしたマーケティングが施されているのが以前と大きな違いだ。
先ず駅前には新しく寅さん像が作られている。
「寅さん記念館」は入場料500円で十分に楽しめる。
寅治郎一家の紹介にとどまらず、ふんだんな映像素材をコンピューターのタッチパネルで各人が自由に鑑賞できる。

レトロな商店街は、まるで大人のテーマパークだ。
寅さんせんべい、寅さんあんパンにあの「とらや」では名物草だんごが売られている。
渥美清さんが亡くなり、二度と「男はつらいよ」が制作されなくなって、かえって地域にとって大切なソフトなのだという意識が徹底したと考えられる。

近くに「新東京タワー」ができれば、ますます全国的な集客スポットとなる可能性を感じた。

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『国立国際美術館』


080112_kokritukokusai「国立国際美術館」という普通名詞を並べただけの目立たないネーミング。
さてこの美術館どこにあるか知っている人がどれだけいるのだろうか。
実は大阪だ。
大阪万博を記念して千里に開館したのが1977年、建物の老朽化に伴って大阪都心の中之島に2004年に移転した。
地上はアーチ型の金属オブジェだが、地下に大きな展示スペースを持つ。
いま千里時代から通算30年記念展を開いているので鑑賞してきた。

所蔵品5700点の中から400点を展示してある。
西洋絵画から彫刻、日本の現代アート、写真にいたるまでたっぷりと2時間はかかる堂々たる展覧会だ。ルノアールやカンジンスキー、ピカソから池田満寿夫、横尾忠則など著名な作品も多く私個人は十分堪能したのだが、気になるのは入場者だ。
この規模の展覧会がもし東京の上野や六本木あたりで開かれていたら、朝の開場時刻には外に長蛇の列ができるのが普通だ。
とくに私が行った日は土曜日である。
東京では混雑を避けようと思えば週末は美術館など行かないのが私の常識なだけに、街の中にありながら空いているこの美術館が不思議でならなかった。
世間話に興じるミュージアムショップのおばさん、手持ち無沙汰の館内レストランのスタッフを眺めながら、東京と大阪の差なのか、それともこの美術館の運営自体に問題があるのか首を捻りながら帰ってきた。
一度で答が出せなかったので、近いうちに違う催しを選んでまた出かけて見ようと思う。

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『「和モード」展』

東京ミッドタウンにあるサントリー美術館の「和モード 日本女性、華やぎの装い」展に行ってきた。
「和モード」とはこの展覧会自身の造語で日本的な装いの流行・様式を名付けた。
今日の流行の源流を、日本女性の装いの中にたどろうという展覧会だ。
小袖や化粧、髪飾りなどの現物や風俗画、浮世絵などの展示により「和モード」を体系的にアピールしている。
画家や時代的画流、あるいはある美術館の収蔵品をもちよる一般の展覧会と違い、自ら設定した「和モード」というテーマで展示品を編集したスタッフの感性は大変すばらしいと思う。
また古くは室町時代から昭和初期のメーカーのポスターにいたるまで集められた品々は決して旧きを懐かしむだけでなく今日的価値があると考える。

鑑賞したすぐ夜のテレビ番組で、創業400年近い化粧用の鏡メーカーが、明治時代に鉄道トンネル建設に欠かせないカンテラ生産で事業を拡大し、いまや自動車のバックミラーを生産する企業になっているという話を扱っていた。
そんな現代産業への応用はもちろんのこと、22世紀には「和モード」自体が他国に真似のできない輸出商品になりえると私は真剣に考えている。
自動車や精密機械に代わる最先端産業としてキモノや有田焼に脚光が浴び、フランス料理やワイン以上に和食会席料理や日本酒に関心が集まる。
わびやさびが国際用語として通用し、英語が話せるのにとどまらず英語で歌舞伎や能を説明できる日本人が尊敬されるような国こそ、単なる政治家の思い付きのスローガンではない本当の「美しい国」ではないだろうか。

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