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『主婦の感性で顧客志向の梅干しつくり』

和歌山県の南端白浜空港に降りると東京とはだいぶ気温が違うことを実感する。
ここを訪ねるなら間違いなく2月がいい。
日本全国まだ寒さの中なのに、ここだけは確実に春を先取りした実感に浸れるからだ。
何しろ満開の梅、ウメ、また、うめ、である。
和歌山県みなべ町は全国に知られる梅の町だ。
梅干し専業メーカーの「丸竹」は創業は明治にさかのぼる。
社名になっている丸山竹次郎が創業した。
4代目の山縣久美子さんが社長に就任した平成14年以来、従業員もすべて女性だけという地元でも珍しい会社になった。
「食料品だから主婦の感覚がいちばん大切だと思います。スタッフがみんなであれこれ意見を出し合いお客様にお料理をお出しし、おもてなしをさせて頂く思いで商品に仕立てあげることが当社の強味だと思います。丸竹から生まれた「かぐやひめ」ならぬ「梅むすめ」がキャッチフレーズです」と山縣社長は笑う。

梅干し業界は中国製の低価格商品の流入で厳しい戦いを強いられている。
そうした中にあって丸竹は高級品で勝負するしか生き残れないと考えてきた。
厳選した梅を契約農家から買い付け、秘伝の調味液に漬けて熟成させる。
自然の塩漬けの味の白干しをベースに、かつおやシソなど六種類の味の梅干しを出荷している。
「最近は蜂蜜を入れて漬け込んだ甘い梅が大きく伸びています。ご飯のおかずとしてではなく、お茶受けのお菓子感覚で召し上がる方が多くなったということだと思います。となればスーパーの漬物売り場に頼る販路を変える努力も必要になってきます」
実際、丸竹は大手が強いスーパーなどは避けて贈答市場に力を入れている。
プライベートブランド商品や中国産商品などとすみわけることこそ、小さなメーカーの生き残り策と心得ている。
「大企業だったら市場の縮小は大問題ですが、小さな会社が生き残れないと嘆くほどうちがこれまで高いシェアをとっていたわけではないんです。アイデアと商品の確かさ、こだわりを伝えられればうちが伸びるくらいのすき間はいくらでもあります」と山縣社長は語る。
「梅むすめ」たちが主婦の目線で繰り出すアイデアが成長のカギを握る。

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『トレンディスポット 池袋』

091205_143958091205_132503都内の商業スポットで最近注目される池袋を見てきた。
まず三越閉店後に「日本総本店」と銘打って大型店をだしたヤマダ電機、そして東京メトロが建てたファッションビル「エソラ」、また既存店では西武百貨店のリニューアルである。

何と言っても大変な人出はヤマダ電機日本総本店だった。
あのガラガラだった三越池袋店に取材でよく出かけていただけに,まったくの様変わりにはア然とさせられた。要するに不況で客足が伸びなかったのではなく、三越がだらしなかったということなのだ。
ファッションブランドばかりを追いかけ顧客ニーズに合わない店をつくり、売れないことを不況のせいにしてきたツケが今日の百貨店崩壊の最大の原因であることに、心ある百貨店マンは気がついている。
世の中の売れ筋である液晶テレビ、ケータイ、ゲーム機を買うため、いまどき三越に行く人などいないではないか。
こうした商品をすべて取り揃えたヤマダ電機に人が集まるのは当然なのだ。

次は「エソラ」である。
民営化後、小売業に目覚めたJR東日本に続けと表参道で「エチカ」を成功させて池袋で第2の「エチカ」をオープンさせ、その上屋に8階建てのファッションとレストランの施設を作ったが、これはだめだ。開店ブームがされば閑古鳥の運命だ。
余りにもワンフロアの面積が狭く、各階に収容しているテナントは3店から4店ほど、これでは消費者に選択肢を提供できない。わずか数店みては目まぐるしくエスカレーターで上の階に移動して行くという動線は疲れるだけだ。レストラン利用の客はエレベーターで上層階に直行してしまうから、途中階のテナントは短期で目まぐるしく変わるだろう。

いちばん変わり映えがしないのは西武百貨店だ。
今回は地下の食品売り場の改装だったが、まず店全体で言えば、ボーナス商戦の週末なのに主力のブランド街は目も当てられないほど閑古鳥だ。
不況だというならあのヤマダ電機をどう説明する。
衣料品の売り場もバーゲンを打っているのに人だかりもない。
さて食品だが、惣菜の充実とグループのシナジー効果をあげよ、というセブン&アイ側の要請でプライベートブランドであるセブンプレミアムの売り場の拡充がはかられたが、売上に結び付いたとは言えない。
たしかに価格指向は顕著だが、わざわざ都心の百貨店に来る客はセブンプレミアムに飛びつく人達ではあるまい。
百貨店はあまりの不振の中で自信喪失、自らの客が見えなくなっていると感じた。

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