『改革の時計の針は戻された』
10月23日は各地で首長選挙などの投票が行われた。
木下敏之45歳。
私がこれまで出会った中でこの人ほど優秀で人格的にも優れた政治家はいない。
6年前、農林水産省を辞め民主党系無所属として佐賀市長選に当選、保守王国で自民党が圧倒的な力を持っていたこの地に当時西日本でもっとも若い市長としてデビューした。
その後の活躍は目覚ましかった。
ガス会社の民営化による資金の捻出や市役所の合理化、無駄な公共事業にオオナタを振るうなど財政再建をはかるとともに、行政をサービス業として位置付け、日経新聞行革度ランキングで佐賀市は全国13位に躍進した。
その木下氏が敗れたのである。
今回の選挙は、10月1日に周辺の町や村を合併してできた「新佐賀市」誕生に伴うもので木下氏にしてみれば二期目途中の選挙となった。
「木下憎し」に燃える自民党は、前回「若造にやられた」と怨念に燃える現県議会議長と、失政続きのツケを木下氏に回して逃げ出した元市長が結託し、行政リストラが進めば職員の待遇に響くと脅える市職労出身で、ほとんど行政の現場とは無縁の男を擁立、なんと自民党と社民党が共同推薦するという節操のなさを演じてみせた。
市民不在の候補者選びも呆れたものだが、本来なら挑戦者である新人が現職市長に政策で戦いを挑むのが通常なのに、木下氏と比べられるのを嫌ったのかとうとう政策討論会は一回だけであとは逃げ続けた。
マニフェストを掲げる木下氏に対して、自民党・社民党陣営は言語不明瞭な候補者は表に出さず、「木下は公共事業を市外の業者に発注している」「市役所では恐怖政治が行われ独善的」といった怪文書攻撃にしぼりこんだ選挙戦をつづけ、見事に当選を果たしたのだから戦術だけはあっぱれではある。
かくして、ある地方の県庁所在地の改革は6年で終わった。
私はイデオロギーや個別政党を問題にしたいのではない。
とくに地方経済では改革に対して既得権益を守ろうとする勢力がいかに隠然とした力を持っているか、をこの目でみざるを得なかったことを記しておきたいだけである。
新しく市長になられた方のご活躍を祈念し、佐賀市民が日本中の笑い者にならないようお願いしておきたい。
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91946/6545784
この記事へのトラックバック一覧です: 『改革の時計の針は戻された』: