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『沈まぬ太陽、沈みそうな親方日の丸』

山崎豊子原作の映画「沈まぬ太陽」を早速観てきた。
長編だが長さに飽きず見応えがあった。
何と言っても20年以上前のジャンボ機墜落事故や航空会社の社内の問題が、いままさに日本航空再建問題と重なりあうタイミングの良さに驚くばかりだ。
言いかえればこの会社は完全民営化し、当時から20年たっても全く体質は変わっていないということが浮き彫りになったとも言える。
私はそれ以上に、かつて私が働いた同じ特殊法人であるNHKの体質とよく似ていることを感じた。
組合と経営の馴れ合い、政治家との癒着など、映画が取り上げたテーマはすべて私がNHKで目撃したことばかり。
私はそれが許せず辞めたが、もし在籍していればそれこそ映画の主人公と同じように左遷されていたと思うし、上司から直接それをちらつかされたこともあった。
権力におもねり、自らの出世、保身のためには魂を売る男が何がジャーナリストかと、私はそんな組織に身をおくことを潔しとはしなかった。
それだけにこの映画はけっして他人事ではないと感じた次第である。

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『ちぐはぐな新政権』

財務省が発表した2010年度予算の概算要求によると政策的経費に当たる一般歳出の要求額は過去最大となる54兆9929億円で、2009年度当初予算を3兆2619億円(6.3%)上回った。
国債費と地方交付税交付金はいずれも増額要求となり、国の財政規模を示す一般会計ベースの要求総額は09年度当初予算比7.3%増の95兆381億円に膨らんだ。
無駄遣いに切り込むという当初の大見えの割に、大盤振る舞いに驚いたという人が多いようだ。
こども手当や高速道路無料化といったマニフェストにこだわり、削る予算以上に新たな財政負担を必要とするものが上乗せされてしまった結果だ。
不況で税収は落ち込み40兆円に届かない可能性が高いのに、支出はその倍以上という財政はどう考えても健全とは逆の方向に向かっているといわざるを得ない。
こども手当にかかる費用は年間5兆円。
税収40兆の国でこれだけの費用をかけるにたる政策なのか議論がない。
そもそもこれは少子化対策なのか、景気対策なのかなど明確な説明が聞きたい。
高速道路無料化にしても物理コストの削減がクルマを持たない人も含めて国民全体にどういう恩恵があるのか説得力のある説明がない。
私が主宰しているセミナーの参加企業に聞いてみたが、亀井大臣の主張する債務返済猶予を臨んでいる経営者など一人もいなかった。
むしろそんなことしたら新たな貸し付けに金融機関は慎重になるだろうし、借金を返すというモラルも崩れ、いいことはないという意見が多数だった。

マニフェストに書いてあるからというだけで、精査分析ができていない政策を実行に移されては国民はたまらない。
こども手当を来年参議院選挙の1ヶ月前に支給しますという、票を金で買う発想は危険極まりない。

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『残念無念』

2016年オリンピックがリオデジャネイロに決まった。
東京開催を期待していただけに残念で声もでなかった。
環境に優しく経済的にもローコストで賄う「安藤忠雄式オリンピック」は理にかなったものだと信じていた。
しかし「地味にやろう」という訴えはやはり弱かったのかもしれない。
南米初のオリンピックはおそらく「派手に」開催されるだろう。
成長著しいブラジルの国威発揚の場となるに違いない。

北京、ロシア(冬季)に続きブラジルが開催地となり、2020年にはインドが立候補すると言われているから、オリンピックの開催地にこれでBRICsが揃うかもしれない。
やはり経済成長はスポンサーの存在を意味し、オリンピック開催にとって重要な条件となるのかもしれない。
石原知事の都政がよいか悪いかは知らない。
私が生きている間にもう一度東京オリンピックを見たい、という夢は遠のいたというのが実感だ。

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『マニフェストに書いてあるから』

鳩山内閣はスタート以来全力疾走、閣僚たちも早く功を上げようと必死のようだ。
政権交代したのだから結果を出そうと気負う気持ちは分かるが「マニフェストに書いてあるから」と、何十年も積み重ねてきた住民たちの心の準備をひっくり返すような「八ツ場ダムの工事中止」の決定は血の通った政治とは言い難い。
また高速道路無料化と暫定税率廃止も「マニフェストに書いてあるから」と実行に移す構えだが、これもおかしい。
「クルマにどんどん乗りましょう」」というこの政策が、果たしてCO2削減というもう一つの政策と両立するのかきわめて疑問だ。
高速道路無料化よりも電車やバスなど公共交通機関の利用者に運賃の半額でも補助するような仕組みをつくったほうが、はるかに裾野広く恩恵が行き渡るはずだ。
高速道路無料化や暫定税率の廃止は物理費の削減で物価が下がるから、広く車保有者以外にも恩恵は行き渡るというが、果たしてそれが実感の伴う程の恩恵となるか、説得力に乏しい。
子育て支援にしても子供がいない人や単身者、すでに子供が大きくなっている人にはなんの恩恵もないだろう。
子供もクルマもない人に、あらたな不公平感を感じさせるだけだと思う。
これならあの麻生内閣で評判が悪かった給付金のほうが、まだ一律公平ではなかったかという気がする。
国民の生活が第一、というならアバウトすぎる政策を精査し、もしマニフェストがおかしければ、納得のゆく説明をした上で修正する必要があると考える。
あくまでも「国民の生活が第一」であって「マニフェストが第一」ではないはずだ。

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